「車が好き」「クルマに関わる仕事がしたい」そんな想いを抱えている方は少なくないのではないでしょうか?
実は、自動車業界には設計や開発だけでなく、販売、整備、広告、デザインなど多種多様な仕事が存在しています。
本記事では、そんな車関係の仕事について、具体的な職種の内容や年収、メリット・デメリット、そして転職するための方法まで徹底的にご紹介します。
「車好き」という気持ちを、あなたのキャリアに変えるヒントがきっと見つかるはずです。
車に関わる仕事にはどんな種類がある?
車にまつわる仕事と一口にいっても、実はその職種の幅広さに驚く人も多いかもしれません。
設計や開発といった“つくる”仕事から、販売や整備といった“支える”仕事まで、そのフィールドは多岐にわたります。
ここでは、自動車業界のなかでも代表的な職種について詳しく紹介していきます。
自動車が好きという気持ちを、キャリアにつなげたいあなたに向けたガイドです。
車を生み出す「設計・開発」職
自動車の設計・開発職は、新たな車種の性能や外観、内部構造をゼロから構築する仕事です。
この分野では、機械工学・電気電子工学・材料力学などの知識が求められ、大学や大学院で専門分野を学んだ人材が活躍しています。
多くの場合、大手自動車メーカーに在籍するエンジニアが中心となって開発プロジェクトを進め、商品化までの過程をリードしていきます。
「チーフエンジニア」と呼ばれるポジションは、開発責任者として製品全体の方向性やスケジュール管理を担い、非常に重要な役割です。
技術職の中でも高度なスキルと責任を求められるため、就職難易度は高めですが、設計した車が公道を走る姿を見ることができる達成感は大きな魅力となります。
製造現場をまとめる「生産管理」
生産管理職(工務)は、車の製造ラインにおける品質とスケジュールの両立を支える役割を担っています。
具体的には、部品や完成車の生産計画を立て、それに従って現場の人員配置や工程を調整しながら、ミスなく高品質な生産が実現できるよう管理します。
特別な資格が必要なわけではありませんが、製造業に関する基礎知識とマネジメント力、さらには国際展開している企業では英語力も求められる場面があります。
数百〜数千人単位の工場スタッフを取りまとめる立場になることもあり、非常にやりがいのある仕事です。
製造現場のリーダーとして、車という巨大なプロダクトが生まれる背景を支えている誇りを持てるポジションと言えるでしょう。
車を広める「マーケティング・プロモーション」
完成した車をどう世の中に広めるかを担うのが、マーケティングやプロモーション担当です。
テレビCMやWeb広告などを企画するほか、市場ニーズや競合車種の分析を行い、製品の訴求ポイントを明確にして、販売促進の戦略を練ります。
この仕事は自動車メーカーの社内で行う場合と、広告代理店が請け負う場合があり、企画立案から実行までさまざまなフェーズに関わることができます。
車の魅力を正しく伝えるためには、単に広告センスだけでなく、製品に対する深い理解と数字分析力も求められるのが特徴です。
自分のアイデアでクルマの売れ行きに影響を与える実感が得られる点は、この仕事ならではのやりがいです。
外観の印象を左右する「カーデザイナー」
カーデザイナーは、車の顔ともいえるスタイリングを創り出す仕事です。
エクステリア(外装)やインテリア(内装)の形状や配色を設計し、ユーザーに「乗りたい」と思わせるデザインを生み出します。
多くの場合、美術系大学のプロダクトデザイン系学科を卒業し、自動車メーカーのデザイン部門に所属することが一般的です。
ただし、最初から車全体のデザインを任されるわけではなく、ドアハンドルやミラー、インパネなどパーツ単位からキャリアが始まることも多いです。
また、カタログやパーツ用品のグラフィックデザインといった周辺領域でも活躍できる場があり、センスと経験次第で多彩な道が広がります。
接客もやりがい「ディーラー営業」
自動車ディーラーの営業職は、車という高額な商品を対面で販売する仕事です。
単なる物売りではなく、顧客との信頼関係を構築しながらライフスタイルに合った車選びをサポートします。
各地域の販売会社へ就職し、営業に配属されることでこの仕事に就くことができます。
成績次第ではインセンティブが支給されることもあり、月収数十万円を狙えることもあるため、モチベーションを高く維持しやすいのも特徴です。
地元密着型の販売会社も多く、転勤なしで働けるケースもあるため、地元志向の人にもおすすめの職種といえるでしょう。
メカニックの職人技「自動車整備士」
整備士は、車の安全と性能を維持するために点検・修理・パーツ交換を行うプロフェッショナルです。
整備工場やカー用品店、ガソリンスタンド、さらにはタクシー会社の社内整備部門など、就業先の選択肢は非常に多岐にわたります。
無資格でも一部の業務には携われますが、より幅広く整備業務に関わるには国家資格である自動車整備士(1〜3級)が必須となります。
専門学校で整備技術を学び、資格取得を目指すルートが一般的で、実践的な技術が身につくのも魅力です。
自分の手で車の調子を整えられるようになるため、趣味と実益を兼ねた職業としても人気があります。
ものづくりの最前線「製造ライン・期間工」
製造ラインで実際に車を組み立てる「期間工」は、自動車業界の入口として人気のある働き方です。
自動車メーカーや部品メーカーの工場で、3ヶ月〜半年の契約期間で勤務することが多く、未経験者でも採用されやすいのが特徴です。
住居として社員寮が提供されたり、入社祝い金が支給されたりするなど、待遇面でも手厚く、短期間で稼ぎたい人に向いています。
また、頑張り次第では正社員登用の道が開けることもあり、キャリアの足がかりとして挑戦する価値は十分にあります。
体力的にはハードですが、安定した収入と現場経験が得られる点で、多くの人に支持されている職種です。
車関係の仕事の年収
車に関わる仕事は、働く職種によって収入に大きな差があります。
メーカー、整備士、営業、製造ラインなど、どこに所属するかで年収もライフスタイルも大きく変わってくるのです。
ここでは、代表的な5つの職種を取り上げ、順不同で平均年収をご紹介します。
あなたにとって収入面で魅力的なキャリアの参考にしてみてください。
営業力が収入に直結する「ディーラー」
自動車ディーラーでの営業職は、平均年収「514.3万円」とされています。
これは、厚生労働省の「令和元年賃金構造基本統計調査」に基づく数字であり、全体平均の441万円を超える水準です。
とくに営業成績が反映されるインセンティブ制度により、売れば売るほど収入が増える仕組みが整っているのが特徴です。
中には年収1,000万円に届く営業マンもおり、営業力やコミュニケーション能力が問われる一方で、大きなやりがいと報酬が期待できる仕事といえるでしょう。
トップクラスの年収水準を誇る「自動車メーカー」
大手自動車メーカーに勤務する場合、その平均年収は「741.4万円」に達します。
中でもトヨタ自動車は「851.6万円」という圧倒的な数字を誇り、国内でも屈指の高年収業界といえるでしょう。
設計・開発・マーケティングなど職種も多彩で、業務内容によって収入差はあるものの、どのポジションでも高い待遇が見込まれます。
その反面、就職には高い学歴や専門的なスキルが求められ、倍率も非常に高いのが現実です。
高収入と高難易度の両方が共存する代表的な職種といえるでしょう。
経験と資格で差がつく「整備士」
自動車整備士の平均年収は「440.8万円」です。
車好きにとっては理想的な職業ではありますが、待遇面では他の職種に劣る側面があります。
ただし、整備士資格(1級〜3級)を取得することで、手がけられる業務の幅が広がり、年収アップが見込めるのも事実です。
大手ディーラーに勤務すれば福利厚生や昇給制度も充実しており、安定したキャリアパスを描くことも可能です。
体力勝負な面もありますが、自分の手で車を整備し、顧客の安全を守るという社会的意義の大きい仕事でもあります。
短期で高収入が狙える「期間工」
期間工は、契約社員ながら平均年収「506.7万円」という好待遇が魅力です。
工場勤務のため体力が必要ですが、入社祝い金や満了金といった一時金が豊富で、短期間でまとまった収入を得たい人に最適な選択肢です。
住居費無料の寮や社食の提供も多く、生活コストを抑えて貯金に集中することも可能です。
また、成績次第では正社員登用制度を活用できる企業も多く、ステップアップも狙えます。
一方で、契約終了後の進路には注意が必要であり、計画的なキャリア構築がカギを握る働き方ともいえるでしょう。
安定感抜群の「部品メーカー」
部品メーカーに勤務する社員の平均年収は「705.2万円」と、非常に高水準にあります。
中でもトヨタグループの「デンソー」は「816.8万円」と、本体メーカーに迫る収入を実現しています。
部品メーカーは、車種やメーカーを問わずパーツを供給することができるため、経営の安定性も高いのが特徴です。
エンジン関連などEVシフトで淘汰されるリスクのある領域もある一方で、電装品や内装など、今後も需要が見込まれる分野も多くあります。
技術職としてのスキルを活かしながら、高待遇を得たい方には非常に魅力的なキャリアです。
職種 | 平均年収 |
---|---|
ディーラー | 514.3万円 |
自動車メーカー | 741.4万円(トヨタ:851.6万円) |
整備士 | 440.8万円 |
期間工 | 506.7万円 |
部品メーカー | 705.2万円(デンソー:816.8万円) |
車関係の仕事に転職するには?
「車に関わる仕事に転職したい」と思っても、具体的に何から始めれば良いか迷ってしまう人も多いでしょう。
転職活動では、自己分析・業界研究・資格取得・求人探しなど、段階的な準備がカギを握ります。
このセクションでは、自動車業界への転職を成功させるための具体的なステップをご紹介します。
まずは「自己分析」で車業界との適性を見極める
自動車業界といっても、設計、整備、営業、製造、マーケティングなど、その職種は多岐にわたります。
そのため、まずは自分がどのタイプの仕事に向いているかを明確にすることが大切です。
例えば、「体を動かすのが得意でコツコツ作業が好き」という人なら、整備士や製造系が合っているかもしれません。
逆に、「人と接するのが好きで話すのが得意」という方は、ディーラー営業や販売職に向いている可能性があります。
また、学歴やこれまでの職務経験、保有資格も踏まえて「目指せる仕事」と「目指すべき仕事」をすり合わせておくと、ミスマッチを防ぎやすくなります。
転職支援サイトの無料診断や適職診断ツールなども活用しながら、自分に最適な方向性を見出しておきましょう。
未経験なら「資格取得」や「スクール通学」で実力アピール
自動車業界は、職種によっては専門知識や技能が求められる分野も多く、未経験者がいきなり飛び込むのは難しいケースもあります。
その場合には、資格取得や専門学校の活用でスキルの裏付けを持つことが、転職成功の近道になります。
たとえば整備士を目指すなら、国家資格である「2級自動車整備士」などを取得するのが王道です。
製造ラインや品質管理なら、「QC検定」「機械保全技能士」などの資格が評価されやすいです。
営業や販売系の仕事に転職したい場合でも、車に関する基礎知識や商談力を高めるための通信講座や営業職向け研修に参加するのも効果的です。
資格は即戦力の証明だけでなく、「本気でこの業界で働きたい」という熱意のアピールにもつながるため、履歴書でも好印象を持たれやすくなります。
「専門の転職エージェント」で情報収集とマッチングを強化
自動車業界への転職を目指すなら、業界に特化した転職エージェントを活用するのも非常に効果的です。
とくにメーカー・部品メーカー・ディーラーなどは非公開求人が多く、個人ではなかなか情報にアクセスできないケースも少なくありません。
業界に精通したキャリアアドバイザーに相談すれば、自分のスキルや経験に合った職種や企業を提案してもらえるだけでなく、書類の添削や面接対策まで手厚くサポートしてもらえます。
また、期間工からの正社員登用を狙う場合にも、メーカーとのコネクションを持つエージェントを使えば、優先的に採用ルートに乗れることもあります。
無料で利用できるサービスが多いため、複数のエージェントに登録して比較しながら利用するのがおすすめです。
志望動機・職務経歴書は「車への熱意」を伝える内容に
自動車関連企業に応募する際、履歴書や職務経歴書で重要なのは「なぜ車業界で働きたいのか」という動機を、しっかりと伝えることです。
単に「車が好きだから」ではなく、自分の経験やスキルがどう業務に活かせるのかまで具体的に書くと、説得力が増します。
たとえば、前職が接客業なら「顧客満足を追求する姿勢をディーラー営業に活かせる」といった展開が可能です。
また、「自分のアイディアをカタチにしたいから設計職に挑戦したい」「機械に強いから品質管理に向いている」など、業務との結びつきも忘れずにアピールしましょう。
書類選考の通過率が上がるだけでなく、面接でも話がしやすくなり、面接官の印象にも残りやすくなります。
地方勤務や契約社員も選択肢に入れて柔軟に検討する
自動車関連の仕事は、メーカーや部品工場が地方に多くあるため、「都市部でしか働きたくない」と考えていると、チャンスを逃す可能性があります。
また、最初は契約社員や期間工からスタートし、正社員登用を目指すというルートも十分に現実的です。
特に20〜30代であれば、ポテンシャル採用をしてくれる企業もあるため、雇用形態よりもキャリアの入口として前向きに捉える姿勢が重要です。
働くうえで何を重視するか(年収、勤務地、働きやすさ、キャリアアップなど)を整理し、自分の優先順位に合わせて柔軟に動ける人ほど、チャンスをつかみやすくなります。
まとめ
車関係の仕事は、その多様性とやりがいの高さから、多くの人にとって魅力的なキャリアの選択肢となり得ます。
自動車メーカーの設計・開発職から、整備士やディーラー営業、さらにはマーケティングやライターといったクリエイティブな職業まで、車好きを活かせる職種は思った以上に幅広いのです。
また、自動車業界は平均年収も比較的高く、メーカーや部品業界であれば700万円超という高水準の待遇も実現可能です。
一方で、整備士や期間工のように、技術や体力を武器に短期で実績を積みながらステップアップを目指すルートも存在します。
転職を考える際には、まず「自分にどの職種が向いているのか」を見極める自己分析が欠かせません。
次に、必要なスキルや資格を洗い出し、早めに学び始めることが後悔しないキャリアチェンジへの第一歩になります。
未経験者であっても、業界に特化した転職エージェントを活用すれば、希望に合った企業との出会いも期待できます。
履歴書・職務経歴書では、車に対する想いや業務への適性をしっかり伝えることで、採用側の関心を引くことができるでしょう。
さらに、勤務地や雇用形態に柔軟な姿勢を持つことで、正社員登用やキャリアアップのチャンスを広げることも可能です。
変革の時代を迎えている自動車業界だからこそ、今がチャンスとも言えます。
あなたの車への情熱を、新しい仕事として形にしてみませんか?