就職活動や転職活動で避けて通れないのが履歴書の「趣味・特技」欄です。
この欄は単なる記入事項と思われがちですが、実は自分らしさや人柄を伝える絶好のチャンス。
何を書いたら良いか迷う人のために、書き方の基本から、面接官が注目するポイント、印象的な例文、思いつかないときの対処法まで徹底解説します。
1. 趣味・特技欄の基本と目的
履歴書を書く際、「趣味・特技」欄は軽視されがちですが、実は重要な役割を担っています。
ここでは、欄の意味や、担当者がどのように見ているか、記入する際の心構えについて押さえておきましょう。
履歴書の趣味・特技とは?何を書く欄?
履歴書の「趣味・特技」欄は、単なる余白ではありません。
あなたが普段どんなことに興味を持ち、何を楽しみ、どんな分野で力を発揮しているかを端的に伝える項目です。
自己PRや志望動機と異なり、少しプライベートな側面や、あなたらしさが自然に表れる場所とも言えるでしょう。
また、内容によっては、面接での話題づくりや、場を和ませるきっかけにもなります。
履歴書の中で唯一、仕事以外の人となりが垣間見える欄ともいえるため、空欄や「特になし」とはせず、何かしら記入するのがおすすめです。
採用担当者は趣味・特技欄で何を見ている?
採用担当者はこの欄から、単なる趣味や能力だけでなく応募者の性格、価値観、社風との相性などを感じ取ろうとしています。
例えば、「読書」「映画鑑賞」だけではなく、「ジャンルや頻度」「どんな工夫をして楽しんでいるか」など具体的な記載があれば、その人の考え方や行動特性も伝わります。
また、趣味や特技を通じて培った経験やエピソードが面接の糸口になることも少なくありません。
あくまで人柄の一側面を知るための材料として重視されているため、身構えすぎず自分らしい表現が大切です。
趣味・特技で合否は決まる?担当者の本音
「趣味・特技欄の内容だけで合否が決まることは少ない」というのが現実ですが、だからといって手を抜いて良い欄でもありません。
実際には、面接の場で話題になったり、志望動機や自己PRと繋がるきっかけになるケースも多いのです。
逆に、「何も書かれていない」「ネガティブな印象を与える内容」だと、マイナス評価につながる恐れも。
担当者は“この人と一緒に働けそうか”という視点で柔軟に見ていますので、少しでも自分らしさや人柄を伝える工夫が求められます。
履歴書という書類の目的を意識しよう
履歴書の本来の役割は、応募者のプロフィールや経験をコンパクトに伝えることです。
その中で趣味・特技欄は、一見業務と関係がなさそうでも、人物像を立体的に見せる役割があります。
採用担当者に「話してみたい」「どんな人だろう」と感じさせられれば、面接や書類選考でもプラス材料になるでしょう。
自分を知ってもらうきっかけになる欄として、しっかり活用する意識を持ちましょう。
2. 趣味・特技欄の正しい書き方とポイント
趣味・特技欄をしっかり活かすためには、基本ルールと書き方のコツを押さえておくことが大切です。
この章では、書き方の基本からサンプル例文、便利な作成ツールまで、役立つポイントをたっぷりご紹介します。
書き方の基本ルール
履歴書の趣味・特技欄を書く際には、いくつかの基本的なルールがあります。
まず空欄にせず、必ず何か記入することが大切です。
自分の趣味や特技が思いつかない場合でも、日常のちょっとした習慣や、継続していることを書き出してみましょう。
また、あまりにも突飛な内容や、誤解を招く可能性があるものは避けた方が無難です。
他人から見ても理解しやすく、共感しやすい内容にまとめることが重要です。
「特になし」や「無い」などの否定的な記入は避け、ポジティブな内容を簡潔に表現することを心がけましょう。
書き方のコツ(簡潔・具体・ポジティブに)
趣味や特技は、できるだけ具体的に書くのが好印象につながります。
たとえば「読書」だけでなく、「ミステリー小説を月に3冊読む」「新刊をチェックするのが習慣」など、その活動をどのように楽しんでいるか、どんな工夫や継続があるかを加えることで、より人柄や個性が伝わります。
また、仕事に直接関係しない内容でも、努力や工夫・継続力が伝わると高評価を得やすくなります。
ポジティブな言葉を意識し、内容に迷った場合は「続けてきたこと」「人からよく褒められること」「時間を忘れて打ち込めること」などに注目してみましょう。
書き方の見本(サンプル付き)
以下に、履歴書の趣味・特技欄に実際に書けるサンプル例をいくつかご紹介します。
シンプルな一言だけでなく、簡単な説明や工夫の一言を添えることで、ぐっと印象がアップします。
趣味・特技 | 説明例 |
---|---|
読書 | 毎月数冊の新刊を読み、感想をまとめる習慣があります。 |
料理 | レシピを見ずに冷蔵庫の食材で新メニューを考えるのが好きです。 |
ジョギング | 週3回、近所の公園を走っています。継続することで健康管理に役立てています。 |
イラスト | 空き時間にSNSでイラストを投稿し、友人と交流を楽しんでいます。 |
英語学習 | 毎日ラジオ英会話を聞き続け、リスニング力の向上を実感しています。 |
履歴書かんたん作成ツールの活用
「何を書いたら良いかわからない」「うまく文章がまとまらない」という方には、履歴書作成ツールの活用もおすすめです。
オンラインの履歴書作成サービスやアプリでは、趣味・特技欄のテンプレートや例文集が豊富に掲載されています。
これらを参考に、自分の言葉でアレンジしながら入力することで、誰でもスムーズに完成度の高い履歴書が作成可能です。
手書きにこだわる場合でも、まずはツールで下書きをしてみると、文章の構成や言い回しの参考になります。
3. 採用担当者に好印象を与える趣味・特技の選び方
履歴書の趣味・特技欄は、自分の人柄や強みをアピールできる数少ない場です。
どんな内容を書けば面接官の印象に残るのか、選び方のコツやポイントを解説します。
人柄や長所が伝わるものを選ぶ
自分の人柄や長所をさりげなくアピールできる趣味や特技は、履歴書の欄に最適です。
たとえば、継続力や努力型であることを示す「ランニング」や「毎日の日記」、コミュニケーション力を表現できる「イベント参加」「サークル活動」などがあげられます。
「どんな性格なのか」「どんな価値観を持っているか」が自然と伝わる内容にすると、面接でも会話が広がりやすくなります。
また、自分が熱中していることを素直に書くことで、担当者にもその熱意が伝わり、好印象につながります。
無理に難しい特技を書く必要はなく、「好きで続けていること」「人からよく褒められること」など等身大の自分を表現しましょう。
業務に活かせるもの・成長意欲が伝わるものを選ぶ
もし業種や職種に関連する趣味・特技があれば、それを活かして記入するのも効果的です。
たとえばIT業界を目指す人が「プログラミング」や「ガジェット好き」を、事務職志望の人が「整理整頓」「計画的な行動」などをアピールすれば、業務との親和性がアピールできます。
また、直接関係がなくても、成長意欲や学ぶ姿勢が伝わる内容は高評価です。
例えば「新しい資格の勉強を続けている」「地域イベントに積極的に参加している」など、前向きな挑戦を表現できると印象が良くなります。
担当者は「仕事にどう活かせそうか」という視点で見ていることも多いので、自分の趣味や特技がどう役立つかも考えてみましょう。
「特になし」は避けるのが無難
「特になし」と書くのは避けた方が無難です。
空欄や否定的な記入は、やる気や自己理解が低い印象を与えてしまいます。
自分には特筆する趣味や特技がないと思っても、日常の小さな習慣や続けていること、身の回りの関心事も立派なアピール材料になります。
例えば「毎朝ニュースを見る」「通勤時にオーディオブックを聴く」「植物を育てている」など、どんな小さなことでもあなたらしさを表現できます。
少しでも前向きな姿勢を示し、自分の生活や興味の一端を伝えるよう意識しましょう。
4. 履歴書に書ける趣味・特技の具体例一覧
実際にどんな趣味や特技が履歴書にふさわしいのか迷う方のために、参考になる具体例を一覧でご紹介します。
また、書き方例文も豊富に載せているので、自分らしくアレンジして活用してください。
履歴書に書ける趣味の例【一覧】
自分の日常に根付いたことから、社会性や継続力を示す趣味まで幅広く記載できます。
以下は代表的な例です。自分の経験や生活に当てはまるものがあれば、ぜひ参考にしてください。
趣味 | ポイント |
---|---|
読書 | ジャンルや冊数、学びの視点を添えると◎ |
料理 | レシピ開発や健康意識もアピール可能 |
散歩・ウォーキング | リフレッシュや継続力が伝わる |
映画鑑賞 | 好きなジャンルや鑑賞方法をひと言添える |
スポーツ観戦 | チームワークや応援する姿勢も表現できる |
写真撮影 | 視点やセンス、記録好きな性格もアピール |
ボランティア活動 | 社会貢献意識やコミュニケーション力が伝わる |
音楽鑑賞 | ジャンルやライブ参加など具体性をプラス |
旅行 | 計画性や柔軟性、好奇心も強調できる |
DIY | 工夫や創意、達成感をアピール |
履歴書に書ける特技の例【一覧】
日常生活や仕事にも通じる実用的なスキルや、継続・工夫が感じられる内容が特技として最適です。
以下の例をもとに、自分に当てはまる特技がないか探してみましょう。
特技 | ポイント |
---|---|
タイピング | 早さや正確さ、効率性を伝えやすい |
語学 | 英語以外でも外国語学習経験をアピール |
整理整頓 | 几帳面さや効率化への意識を表現 |
パズル・クイズ | 論理的思考力や集中力をアピールできる |
プレゼンテーション | 発信力やコミュニケーション力を示せる |
動画編集 | 創造性やデジタルスキルも伝わる |
楽器演奏 | 継続力・表現力・チームワークも示せる |
イラスト制作 | 表現力や独自の視点、コツコツ力が伝わる |
速読 | 集中力や情報処理力の高さをアピール |
趣味・特技の書き方例文集
ここでは、実際に履歴書にそのまま使える趣味・特技の例文をご紹介します。
自分らしいアレンジを加えれば、個性や強みもより際立ちます。
例① 観葉植物の世話
自宅で数種類の観葉植物を育てています。
日々の管理を通して、環境に合わせて工夫する力や、地道に継続する姿勢を身につけました。
例② 手作りのカードやラッピング
誕生日や季節の行事ごとに、友人へ手作りのカードやラッピングをしています。
細かい部分まで気を配ることが好きで、丁寧な作業が得意です。
例③ 古い雑誌や広告の収集
昭和〜平成初期の雑誌や広告を集めて整理しています。
変化の流れを比較するのが好きで、情報を体系的にまとめることにも興味があります。
例④ 迷路やパズルを解くこと
論理的に考えて解決策を見つけることが好きで、休憩時間にパズルを解くのが日課です。
集中力を保ちながらコツコツ進めるタイプです。
例⑤ 無人駅や地方バス路線の探索
旅行というより、地方の小さな駅や路線を調べて訪ねるのが趣味です。
事前調査やルート計画を立てる力が養われ、仕事の段取りにも活かせています。
例⑥ 朝のラジオを聞く習慣
出勤前にニュース番組のラジオを聞いています。
自然に社会動向をキャッチできるので、会話のきっかけや視野の広さにもつながっています。
例⑦ 自作のショート動画編集
趣味で短い動画を編集しています。
構成を考えるのが楽しく、限られた時間で伝えたいことを整理するスキルが身につきました。
例⑧ 公共施設のイベント参加
地域の図書館や市民センターで行われる講座や展示に参加しています。
新しい分野に触れることで柔軟な考え方を持つよう心がけています。
例⑨ 手話の勉強
趣味で手話を学んでいます。
言葉以外の方法で気持ちを伝える難しさと大切さを感じ、人との関わり方にも思いやりを持つようになりました。
例⑩ DIYで小物を作ること
自宅で棚や収納ボックスなどを自作しています。
手を動かして形にする達成感が好きで、創意工夫を活かすことにやりがいを感じています。
例⑪ 小説や脚本の構成を考えること
物語の展開や人物設定を考えるのが好きです。
想像力を形にする力や、全体の流れを整理する力が自然と身につきました。
例⑫ SNSの企画投稿
趣味でSNSに企画投稿をしています。
反応を見ながら改善する過程が楽しく、データをもとに試行錯誤する姿勢が培われています。
例⑬ 地図を見ること
地図を眺めて新しいルートを見つけるのが好きです。
全体を把握して最短経路を考えることが得意で、論理的な整理力があります。
例⑭ 動物の行動観察
近所の野良猫や公園の鳥の行動を観察するのが日課です。
小さな変化に気づく観察力と、物事をじっくり見る忍耐力が養われました。
例⑮ ボランティア活動への参加
地域の清掃活動や募金イベントに参加しています。
地道な作業を通じて、社会貢献への関心とチームで協力する姿勢を学びました。
5. 書かない方が良い趣味・特技とその理由
履歴書の趣味・特技欄は、自己PRの場として活用できる一方、内容によっては誤解や不安を与えてしまうこともあります。
この章では、書かない方が良い趣味・特技の具体例と、その理由について詳しく解説します。
誤解されやすい・不安にさせる内容の例
趣味や特技だからといって、何でも書いて良いわけではありません。
面接官が不安やマイナス印象を持つような内容や、極端に個人的な趣味は避けた方が賢明です。
ここでは代表的なNG例をいくつかご紹介します。
例① ギャンブル・お酒に関する内容
パチンコ、競馬、麻雀などのギャンブル系や、「お酒を飲むことが好き」などの記載は、浪費癖や依存傾向、自己管理の甘さを疑われる可能性があります。
どんなに趣味でも履歴書には記載しないのが無難です。
例② 極端な宗教・政治活動
宗教的な活動や、過度な政治活動への参加は、職場でのトラブルや対立の原因になると警戒されがちです。
面接官が話題を広げにくい内容でもあるため、プライベートの範囲にとどめておきましょう。
例③ 過度な自己アピール(「誰にも負けない」など)
「誰にも負けない」「絶対に私が一番」といった極端な自己主張は、協調性の欠如や独善的な印象を与える恐れがあります。
自信を持つことは大切ですが、履歴書では控えめで謙虚な表現を心がけると良いでしょう。
趣味・特技欄にあえて書かない方がいいケース
趣味・特技欄は自分らしさをアピールする場ですが、場合によっては「書かない方が良い」ケースもあります。
たとえば、趣味が極端にマニアックすぎる、理解されにくい、または職場の雰囲気や価値観に合わない可能性がある場合です。
たとえその趣味が大切であっても、面接官に説明が難しい内容や、誤解されるリスクが高いものは避けましょう。
履歴書は第一印象を左右する大切な書類なので、あくまで相手の立場に立った記載を意識することがポイントです。
6. 趣味・特技が思いつかないときの対処法
「履歴書に書ける趣味や特技が本当に思いつかない…」と悩む人も多いはずです。
この章では、そうしたときに役立つヒントや発想法、表現のコツについて具体的にご紹介します。
好きなこと・こだわりから書く
趣味や特技が浮かばないときは、普段の生活で「つい熱中してしまうこと」「毎日欠かさずやっていること」から考えてみましょう。
「好きな音楽を毎朝聴く」「コーヒーの淹れ方にこだわっている」「お気に入りの文房具を集めている」など、自分だけのこだわりや習慣は立派なアピールポイントです。
誰かに自慢できるほどでなくても、「それをどのように工夫して楽しんでいるか」「何を大切にしているか」を掘り下げてみると、自分らしい趣味・特技が見つかります。
よく褒められることから探す
「友人や家族、同僚から褒められること」を思い出してみましょう。
「整理整頓が上手だね」「料理が美味しい」「気配りができる」など、他人から評価されたことも大きなヒントです。
自分では特別なことと思っていなくても、周囲から見れば十分にアピールできる要素が隠れているものです。
身近な人に「私の強みって何だと思う?」と聞いてみるのも効果的です。
工夫や努力のエピソードを思い出す
これまでに工夫したことや、長く続けてきたこと、ちょっとした成功体験も、特技や趣味として活用できます。
「忙しい中でも日記を書き続けている」「資格取得に挑戦した」「毎朝早起きして運動をしている」など、工夫や努力のプロセスを思い出してみましょう。
単なる「好き」や「得意」だけでなく、「どんなふうに頑張ったか」「何を学んだか」もアピールポイントとなります。
「特になし」と書かずに表現するコツ
どうしても特別な趣味や特技が思い浮かばない場合も、「特になし」とは書かずに、日常の中で自分らしい部分をピックアップしてみましょう。
「毎日欠かさずやっている習慣」「自分なりに工夫していること」を取り上げればOKです。
ちょっとした日常の積み重ねや小さな努力も、自分らしさとして十分に伝えることができます。
例えば「植物の世話」「ニュースチェック」「家族との会話を大切にしている」など、あなたならではの特徴を意識してみてください。
どうしても思いつかない場合の対処法
どうしても何も浮かばない場合は、まずはネットや履歴書作成ツールの例文集を参考にしましょう。
同じ内容でも自分の体験やエピソードを加えて、自分なりの言葉でアレンジすることが大切です。
また、「今後挑戦したいこと」や「新しく始めたいこと」でもOKです。
例えば「最近ヨガを始めてみた」「週末は資格勉強を始める予定」など、前向きな姿勢をアピールするのも良い方法です。
7. まとめ|趣味・特技欄は「人となり」を伝えるチャンス
履歴書の趣味・特技欄は、単なる“埋め草”ではなく、あなた自身を伝えるための大切な項目です。
ここまでのポイントを踏まえ、自分らしさを前向きにアピールしてみましょう。
採用担当者は“あなたの人柄”を見ている
採用担当者が趣味・特技欄で本当に知りたいのは、あなたの人柄や考え方、仕事に対する姿勢です。
履歴書のこの欄を通じて「どんな人なのか」「どんな強みや個性があるのか」をイメージしています。
難しい内容や目立つ経歴でなくても、あなたらしい工夫や継続力、前向きな姿勢が伝われば十分です。
無理にすごい特技を書く必要はない
他の応募者と差をつけようと、無理に特別な趣味や目立つ特技を書く必要はありません。
大切なのは、自分の生活や日常で続けていること、好きなことを自分の言葉で表現することです。
一見平凡な内容も、丁寧な表現やエピソードを添えるだけで、あなただけの個性が輝きます。
等身大の自分をポジティブに表現しよう
履歴書の趣味・特技欄は、あなた自身をより深く知ってもらう絶好のチャンスです。
等身大の自分を前向きに、素直な言葉でアピールすることで、面接や選考時の会話も広がりやすくなります。
自分らしさを大切に、ぜひ趣味・特技欄を上手に活用してください。